初めて彼女ができたのは、高校生になって間もない1年生の夏のことだった。

 

僕は同じ部活の女の子から告白された。

ピンクのポロシャツの似合う女の子だった。

割と制服に関して寛容な高校で、指定のものはあったが、女子はお気に入りのスカートやリボンをつけて楽しんでいた。

 

高校になってようやくケータイ電話というものをみんなが持ち始める、そういう世代だった。

メールのやりとりの中で、なんとなく予感はできていたのだが、控えめな文章で唐突に「付き合ってもらえる?」と伝えられた。部活では同じ仲良しグループの1人で、いつもそこそこに話をしていた子だった。

 

僕もその子も、お調子者たちが話しているのを遠巻きに楽しそうに見ているようなタイプの人間だった。そういうところで相性が良いと思われたのかもしれない。

 

ついにこの時がきたか!と興奮していたような気もするが、案外落ち着いて対応していたような記憶がある。人づてにしか聞いたことのない、彼氏彼女の関係とはどういうものなのだろうと想像しながら、「もちろんオッケーだよ」とすぐさま返したのだった。

 

僕は自分の部屋で、その頃みんながハマっていたバンドの少し落ち着いた曲を聴いていた。いまでもその曲は良くカラオケで歌うくらいに大好きだが、曲に触れるたびにその頃の青春の残滓みたいなものをふと感じる。

 

はっきり言って、付き合うってなんなのか、その頃は全然分からなかった。

結局その子とした恋人らしいことと言えば、クリスマスのデートで手をつないだことくらいだった。

 

どのようにして別れたのかははっきりとは覚えていないが、僕はその子と付き合ったことで、逆にその子との時間がつまらないものになってしまったと感じていた。

 

高校から一緒に帰る道すがら、なんだか上手く話すことができなかった。その子は緊張していた。僕はなんとか話そうと頑張った。そんな風に記憶している。

 

話しても話しても、すぐ会話が途切れてしまう。上手く話せない気まずさを気にする彼女のその素振りが、逆に僕を苛立たせていた。

 

今となってはもう分からないことだが、彼女は彼女なりに僕のことを想ってくれいたからこそ、上手くしゃべれなかったのだと思う。最終的に、彼女からはほとんど、僕との時間を一緒に楽しもうとする姿勢を感じ取ることができなかった。僕自身ある程度その気持ちを汲んでいたとは思うのだけれど、「めんどうだな」という気持ちが先行し始めるようになってしまった。

 

そのせいか、今後他の女の子と付き合うときには、ちょっと相手をするのが大変なくらい、楽しくおしゃべりができる子がいいなと考えるようになった。

 

結局、特段自分が悪いとは考えず、彼女の態度が改善することがなかったため、僕は別れを切り出したのだった。彼女は彼女で自分自身の立ち振る舞いを申し訳なく思っていたようだったが、僕の頭は、そして心は「誰かと一緒にいるための考え方」ができるほど成熟はしていなかった。

 

そのことに僕自身が気がついたのは、僕が大学生の時に好きになった、とある女の子との時間の中でのことだった。

 

夏から冬を超える程度の、短い期間の「お付き合い」が僕にもたらしたものは、結局恋愛ってよく分からないな、という戸惑いでしかなかったのかもしれない。

 

■この先

②-1 

 

■時系列バラバラだけどこれも読めば?

それはまるで通り雨のような